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一本松家 10代目 朋花

2019.09.13 21:55|俺屍
 一人っ子プレイでイツ花の視点で綴る記録。
 10代目 朋花(ともか)の記録。1025年12月~1026年9月。




1025年12月

 栄成様は一本松家で四柱目の氏神“無量大一本松”として昇天された。
「ここんとこ、氏神になるご先祖が続くねぇ」
「私たちも氏神条件に適ってるのかしら…?」
 天へ登る煙を眺めながら、二人は無言になる。
 二人の前にいた双子──紅成様と紅花様は、紅成様だけが氏神として昇った。
 片方だけ条件に適っていたら、二人は離れ離れになってしまうのではないか──そんなことを不安に思っているのだろうと察せられた。



「あら?」
 来訪された朋成様のご子息を見て、朋花様は声を上げた。私も続けて、「まぁ…」と言ってしまう。
 青い目に短い赤毛、健康的な肌の色。それだけを見れば、彼は朋花様にそっくりだった。
「ほんとに僕の子?」
「ホウちゃんの遺伝子の半分は私と一緒だから、」
 お子様の方もどちらが親なのか(聞いてきてはいるだろうが)混乱してるようだった。
「僕がお父さんだよ」
と朋成様は笑って、息子を抱き上げる。
「お風さんから一字もらって、“常成(つねなり)”と名付けようね。こちらは叔母の朋花。トモちゃんって僕は呼んでる」
「トモちゃん…」
「よろしくね〜」
 朋花様は常成様の小さな手を取って握手した。その顔は新しい家族を迎え、本当に嬉しそうであった。



1026年 3月

 朋花様と朋成様は交代で常成様の訓練を施し、先月の初陣からも無事に帰って来られた。
「先月のは肩慣らし。今月から髪を狩るよ」
 髪留めに使っていた頭の布をきゅっと結び直し、朋花様は宣言する。
「3人戦力は貴重だからね」
「僕の無敵陣もある」
「ホウちゃんが私を守って、」
「トモちゃんが髪を斬る!」
 ぱんっと互いの手を合わせて叩き、二人は気合いを入れる。
「「ツネは補助をよろしく!」」
 二人の勢いに押され、常成様は「は、はい」と慌てて返事をした。



1026年 7月

 攻守揃った双子の連携は効果的で、髪狩りは順調に進んだ。
 3月には鳥居千万宮の三ツ髪を、4月には紅蓮の祠の一ツ髪を、5月には九重楼の六ツ髪を、6月には白骨城の四ツ髪を打倒し、残り2本までに迫った。
 髪をけしかけた本人、黄川人からの情報も多いらしく、二人は戦から戻って来るたびに頭を抱えて話を整理していた。
「つまりィ、黄川人くんは神様の子?」
「だよねぇ。自分でゆってたからぁ、」
「で、うちのご先祖が何って?」
「“同じ方法”って言うのは神との交配で子どもを作ることだから、初代の親のどっちかが神さん?」
「待って。この“姉さん”ってのは誰?」
「だいぶ前にもそういう記録、見た!」
「え、どこ?」
「確かねぇ…」
「だー!!もうっ!!!」
 広げまくった紙片やら資料やらをまたひっくり返しそうになっている双子に、常成様がとうとうキレた。
「今までの情報を整理するとこう! 天界と黄川人の関係はこう!!」
 いつの間に作ったのか、今までの情報が一枚の紙にまとめてあった。しかも絵と図が添えてあり、大変分かりやすい。さらに、それを元に常成様は推測も含め、当主と父君に説明した。
 説明を聞き終えると、ぽんっ、と朋花様と朋成様は同時に手を打った。
「「あぁ?、そういうことか!」」
 はぁ、と常成様は溜息を吐いて、頭を抱え込む。
「闘いとなると、あれほどに頼りなるのに、何故なんだ……」
「頭脳労働は苦手なんだよ」
「ツネが賢くて助かるよ〜」
「さすが僕の子!」
「さすが私の甥っ子!」
「でも賢いのはお風さんの血かな?」
「神様、さまさまぁ〜だね!」
 ぱんっ、と楽しそうに互いの両手を合わせる父君と叔母を見て、常成様はもう一度息を吐いた。
 そんな彼も、今年で成人である。
「来月は交神の儀の予定ですが…、お相手はもうお決まりになりましたか?」
「え、あぁ、」
と、常成様が指定したのは九尾吊りお紺様だった。
「鳥居千万宮のお紺さん?」
「確か6代目の時に解放したね」
「…人妻か」
「…ツネったら」
「違いますっ」
「え、じゃあ、」
「キツネ耳?」
「まにあっく!」
「…だからそうじゃなくて、」
と、常成様は脱力したのを持ち直し、どうにか続ける。
「過去の資料を見返してて、彼女の境遇を知ったので。あの方なら、子を可愛がってくれそうだと……、」
「確かに!」
「良き母!」
 それと、と少しバツが悪そうに私を見た。
「イツ花には悪いけど……天界側は、やはり信用ならない。神々と俺たちとでは感覚が違うから、どうしたって親子の情にも隔たりがある。俺の母は──常夜見様は優しかったけど、遠い方だと感じることも多かった」
 んー、と朋成様は唸る。
「お風さんは神職の方だから、元々一般的な感覚からはズレてるよ?」
「なら、父さんと朋花さんの母君はどうだったんですか?」
 はて、と二人は顔を見合わせる。
 彼らの母君は水の神、桃果仙様だ。
「…あんまり覚えてないかも」
「…僕も」
「…あ、おっぱいが大きかった」
「…あと、やわらかかった!」
「…聞いた俺が馬鹿でした」
 呆れてその場から立ち去る常成様の背中を、二人は寂しそうに見送る。
「…もしかして、怒った?」
「成人して反抗期とか!」
「賢いといろいろと考えてしまって大変…。謝った方がいい?」
「必要なし!」
 父君の朋成様はハッキリと言い切る。お嫁さんのお風様を悪く言われて、少し機嫌が悪くなっているようだ。
 ホウちゃんがそう言うなら、と朋花様は引き下がる。
「…でも、そう考えると、黄川人くんもかわいそうだね」
 手元に残った常成様のくれた紙片を見て、朋花様は言った。
「お姉さんと争うだなんて。私とホウちゃんは子どもの頃から一緒にいたから──そりゃあ、ケンカもしたけど、だから、今はこうして仲良くいられるってこともあるじゃない?」
「まぁ、大抵のことはじゃんけんで解決してきたけどさ、」
「赤ん坊の時に引き離されたんじゃあ、ケンカの仕方も仲直りの仕方も分からないんだよ」
 ね、と朋花様は朋成様を見る。
「私たちは、仲直りの仕方を知ってるものね」
 ぐ、と朋成様は押し黙る。
 ややあって、朋成様は「…わかったよ」と部屋を出て行った。
 よかった、と朋花様は笑う。
「…これで明日、迎えが来たんじゃあ、お互いがつらいもの」
 ──今月、朋花様と朋成様は1歳6か月になり、初めて健康度が下がった。



1026年 9月

 漢方薬・蛇鞭毒を飲み込んで、双子と常成様は親王鎮魂墓へ向かった。先代たちが開いた近道を通り、迷宮の奥にいた親玉・祟良親王様を倒し、見事解放へと導いた。
「あの人、助けられてよかったね」
「ほんとに…、兄弟喧嘩がこじれる人って多いんだね」
 討伐から帰ってから一週間後、朋花様も朋成様も体調を崩し、今は同じ部屋に布団を二つ並べて寝ている有様だった。
「僕ら、仲良しでよかったねぇ!」
「ねぇ!」
 二人は互いの布団に腕を伸ばして、手を繋いでいた。──幼い頃にしていたように。そうしていると、互いの熱が伝わってよいのだと、二人は主張した。
 布団の中で、二人はずっと話し続けていた。
「…遺言、考えなきゃだわ」
「…かっこいいやつをお願い!」
「“向こう傷”は男の勲章。それを後ろから、そっと奪うのが女の勲章──とか、どう?」
「それ、言ってて意味わかる???」
「実はわかんない」
 なんだそれ、と朋成様は笑う。
 えへへ、と朋花様もつられて笑う。
「ねぇ、ホウちゃん」
「なに、トモちゃん」
「男女の双子ってね、心中した男女の生まれ変わりっていう言い伝えがあるんだって。知ってた?」
「は、何それ」
「…私たち、前世は恋人同士だったのかな?」
「…想像できないなぁ」
「…だよねぇ。私も」
 朋花様は細い息を吐く。
「…私、次に生まれ変わっても、ホウちゃんとは兄妹がいい」
「…そんなの、僕だってそうだよ」
「じゃあ、次は私がお姉さんやるね!」
「姉さん!」
「弟よ!」
 襖の向こうから、きゃははっ、と重なる二人の笑い声に、私は彼らの幼い頃を思い出していた。
 いつでも駆けつけられるように部屋の外で待機していた、その横にいつの間にか常成様も控えていて、膝掛けを私に貸してくれた。初秋の頃、夕方の廊下は肌寒い。
「…ま、できるなら、ツネより長生きして、あの子の一生を見届けたかったな」
「それ、本人に言ってあげなよ」
「…それは恥ずかしい」
 もう、と朋花様が苦笑する。
 私の隣で、ぐ、と常成様が堪える気配を感じた。──そちらの方へは目を向けないようにする。
「ねぇ、ホウちゃん」
「なに、トモちゃん」
「…私、楽しかったよ」
「…僕もだよ」
「…あのね、私、ずっと楽しかった。ほんとに、本当に。ホウちゃんと一緒だったから、鬼退治も頑張れたし、当主のお仕事も最後まで出来た。辛いことや悲しいこともあったのかもしれないけど、ホウちゃんがいてくれたから、そういうのは全然覚えてないんだと思う。だからね、ホウちゃんが私のお兄さんで、双子で生まれてきてくれて、本当に嬉しい。ありがとう、ってずっと言いたかった。──ねぇ、ホウちゃん、聞こえてる?」
 うん、と朋成様の声が小さく返った。
 よかった、と朋花様が安心したように言う。
「…ホウちゃん、おやすみなさい」
 朋花様のその言葉に、朋成様の声が返ることはなかった。
 ──翌朝、天に召された朋成様と朋花様は固く互いの手を握り合っていた。




12_201909132153335ac.jpg
朋花(ともか)
 悩み:親知らず
 9ヶ月で10代目当主に就任。薙刀士。
 一本松家2組目の双子の妹の方。
 性別とかあまり気にしないで書いてましたが、朋花ちゃんは何となくバイっぽい。
 五柱目の氏神“一本松勝利姫”として昇天。

11_201909132153313ac.jpg
朋成(ほうせい)
 趣味:渾名つけ
 一本松家2組目の双子の兄の方。
 六柱目の氏神“一本松八千矛”として昇天。

 紅成・紅花の双子は各々に考え悩んだ子たちだったのに対して、この双子に関しては最初に「仲良しそう」という印象を抱き、そのままにプレイして行って、遺言もそれっぽいのが出た上に、男女なのに同時逝去したんで、こういう最期を書かせてもらいました。男女の双子は、女の方が寿命が長い設定上、同時逝去ってほとんどないんですよね。しかもこれ、寿命…。
 一本松家は一人っ子プレイで総勢一族数も少なかろうと、氏神申請はかたっぱしらから奉る意向でしたが、この子たちに関してはどちらかが氏神条件に外れたら、リセットしてでもやめようと思ってました。結果、仲良く昇天してくれたのでよかった。
 最期の姿が心中した男女に見えますけど、あくまでも兄妹なのです。シリアス展開が長かった一本松家の髪狩りを、明るく楽しいものにしてくれました。

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